思い出せば心優し。
あれはたしか1992年頃のことだった。 その当時、ぼくの家から歩いてすぐのところに「洋服の青山」がオープンした。 友達との間でタートルネックのセーターが流行っていたのがちょうどその時。 新聞の折り込みに入ってた青山の広告には、タートルネックのセーターが確か500円と出ていた。 うちは親に頼んでも買ってもらえる環境でもなかったので、なんとか自分でお金を用意した。 って言っても親の財布からネコババしたのが事実なのだが。。。(笑) まぁとにかくぼくはどうしてもタートルネックが欲しくて、新しくオープンした洋服の青山に入って行った。まだ子供だったぼくにはお洋服屋さんに入って行くとゆうのが意外と勇気がいるもんで、肌寒い季節だったのに汗だくになってた。緊張していた。 思い切って何かをしてみる時って、この頃からすでに一人行動だったなぁっていま改めて思い出してちょっと笑えた。 そしてお目当てのタートルネックを手に持ってレジに行った。 500円だと思ってたのに515円になってビックリ! ぼくの持ち金はちょっと足りなかったのだ、消費税の分、ほんの15円。 レジをやってくれたおねぇさん店員は「ポケットに20円とか入ってない?」とか言ってきたけど、持ってなかった。恥ずかしかったから一応探すふりはしたけど。。。 ただでさえ人見知りなのにこの状況は、ぼくにはいっぱいいっぱいでどうしたらいいのか分からず、恥ずかしい気持ちでいっぱいだった。 顔が真っ赤になって焦った。おねぇさんもどうしようか、といった感じだった。 「お金を持って戻ってきます」と家に戻ろうと思ってたら、そう言いかけたときに違う店員のおにぃさんが駆け寄って来た。 状況を把握したおにぃさん店員。 すぐにおねぇさんの「やっさしぃ~♬」とゆう声が。 みるとおにぃさん店員が自分の財布から小銭を出してくれていた。 「もうこれで大丈夫よ」と言ってタートルネックは袋に包まれてぼくの手に渡された。 あまりにもテンパり過ぎて、「ありがとうございました」とだけしか言えなかったが、その帰り道はタートルネックを買えた事よりも、おにぃさんの優しさが嬉しかった。 人生の色んな場面でたくさんの優しさに触れてきたが、これはベスト3に入る思い出である。