天国へ行ったじいちゃんは、石垣島の開拓者の1人だったんだ。
家族の話
じいちゃんの容態が良くないってゆう連絡を受けてから、ゴールドコーストに住むぼくらはすぐに帰国の準備に取りかかった。
ぼくの奥さんはじいちゃんの孫娘なので、最期にどうしても会わせてあげたかったのだが間に合わなかった。
じいちゃんにも、奥さんにも、そして「早く元気になってね」と手紙を書いていた娘たちに対して申し訳ない気持ちがある。
もっと早く送りだせばよかったと。
ぼくももういい年なので、人が亡くなってしまうことにただ悲しむこともなくなってきたのだが、こんな時には何を思えばいいんだろうかと考えてしまう。
天国へいった石垣島のじいちゃん
ぼくが初めてじいちゃんに会ったのは、2008年だった。
ゴールドコーストで出会った奥さんにプロポーズした後、結婚の承諾を得るために石垣島へ行ったのだった。
初めてお会いしたご両親、そして運よく?旧盆の季節だったので、多くの親戚の方たちと会うことができた。
ぼくは完全にアウェーで、「お前はどこの誰だよ?」ってゆう、たくさん集まった親戚中からそんな目で見られてて、めちゃくちゃ居心地が悪かった(笑)
まぁ当たり前か、いきなりやって来たやつが結婚させてくれって言って、そしてそのままオーストラリアに住むってんだから、あちらの家族からすれば微妙だよな。
じいちゃんは家族のトップだ。
大勢の親戚がじいちゃんを取り囲んでワイワイと酒盛りをやっていたその場に、ぼくは放り込まれた。
そこでじいちゃんは、「おめぇはこの娘と結婚したいのか?」と聞いてきたのだが、その時はまだご両親からのYESともNOともいえない返事すらも貰っていなかったので、なおさら居心地が悪かった。
「この娘は孫の中でぼくが一番かわいがってるんだ」
そんなことを言ったじいちゃんを、奥さんのお母さんはたしなめた。
「他にもいっぱい孫がいるんだからそんな事言うのはやめてよ」って。
でもじいちゃんは訂正しなかった。きっと本音なんだろうと思った。
じいちゃんとの約束
結婚の承諾を得ようと石垣島まで行ったのに、ご両親の返事は微妙なままだった。
それでも帰らなきゃならない時、じいちゃんがぼくにこう言ってきた。
「この娘はぼくが一番好きな子なんだ。結婚して向こうに連れて行ってもいいが、年に1度だけは連れて帰って来てくれ。じいちゃんと孫を会わせてくれ」
この言葉はぼくとじいちゃんの約束となった。
結婚した後、数年間が空いたこともあったが、経済的にも余裕ができてから、奥さんと子供たちは毎年のように石垣島へ遊びに行っている。
そして次々に生まれた曾孫たちを、じいちゃんに見せることができていたのだった。
ウェルカムに温かく迎えてくれた
去年、ぼくら家族全員で石垣島に行った時のことだ。
到着し、ぼくの顔を見たじいちゃんは、「お、ぼくのお気に入りの青年が来たぞ。いやぁ立派にやっとるんやな」と言ってくれた。
ぶっちゃけ石垣島の人たちって、ちょっと閉鎖的とゆうか内地から来てる人たちにあまりウェルカムではないことが多いんだよね。
そんな雰囲気があるから、ぼくはいつも怯えがちで石垣島に行くんだけど、じいちゃんが思いっきりウェルカムしてくれたことで、今では第2の故郷とさえ思えてきている。
もう一度会いたかったじいちゃんは、残念ながら天国へ行ってしまった。
何もない時代から宮古島から石垣島に移り住んで、自分たちの手で開拓してきたじいちゃん。
バンナ公園を作ったのはうちのじいちゃんであり、ぼくら家族にとっては自慢のネタである。
いつも元気に動き回っていたじいちゃん。
島の人らしく、お酒飲んで大勢でワイワイするのが大好きだった。
島酒をオリオンビールで割って飲んでたじいちゃん。
ぼくの奥さんのことを、ずっと気にかけてたんだろうか。
じいちゃんの最期の言葉は、「ありがとね」だったらしい。
じいちゃんから繋がった命がぼくの奥さんのところまできて、そして今は3人の子供たちへと繋がっている。
じいちゃんの大好きな孫娘と結婚させてくれてありがとうございました。
そして天国で幸せに暮らしてください。
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